夜釣りは夜行性のターゲットを狙うために有効な手段ですが、免許不要で船舶検査もなく、夜間航行設備のない2馬力ボートでも、夜釣りや夜間航行が可能なのかどうか気になりますよね。
そこでこの記事では、分かりにくい2馬力ボートの夜釣りや夜間航行に関する決まりごとについて詳しく解説し、あわせて危険性やリスク対策まで詳しくご紹介していきたいと思います。
国の方針は夜間は船を出さない!
まず、第一に国の方針として「2馬力ボートなどの船舶は夜間は船を出さない」と表記があり、一部抜粋しますと
一部抜粋 夜間航行する場合は、全周灯等の法定設備を点灯しなければなりませんが、たとえ点灯していてもミニボートは他船から見えにくいため、気付かれないこともあります。
また、夕方に釣りをする場合、夢中になって、日没を迎えてしまうと、帰航中に暗くなってしまう可能性がありますので、日没前には帰航しましょう。
となっており、「全周灯等の法定設備を点灯しなければなりませんが」という表現の仕方から、法律的に禁止というわけではなく2馬力ボートでの夜釣りや夜間航行は可能です。
しかし、国としては2馬力ボートの夜間航行や夜釣りは、できれば避けてほしいというスタンスになっています。
実際に、2馬力ボートは日中でもシルエットが小さく、波間に入ると他船から見落とされがちで常に衝突事故の危険が高くなっています。
そのため、特に夜間航行では危険性が高くなるのは当然のことなので、国としては2馬力ボートなどの船舶は夜間に航行しないでくださいとなっているのです。
- 2馬力ボートの夜間航行は可能!
- 全周灯などの法定設備の灯火が必要!
国土交通省海事局:ミニボートに乗る前に知っておきたい安全知識と準備
夜釣りには全周灯等の法定設備が必須!
2馬力ボートで夜間航行や夜釣りを行うためには、全周灯などの法定設備の灯火が必要となっています※(全周灯とは360度どこからでも視認できる灯火)
海上衝突予防法第23条によれば、航行中の長さが7メートル未満かつ最大速力が7ノット以下の動力船は、通常の灯火表示に代えて白色の全周灯1個を表示することができます。
また、できる限りげん灯1対を表示しなければなりません。
2馬力ボートは海上衝突予防法第23条の条件に当てはまるため、白色の全周灯1個を取り付ければ問題ありません。※2馬力ボートの最高速度は5ノット未満です。
また、「げん灯」という表記がありますが、げん灯は夜間の航行中に船舶の進行方向を他船に知らせるために使用されるもので、右側に緑灯、左側に紅灯をつけます。
2馬力ボートには緑灯や紅灯の指定はありませんが、できる限り船舶の進行方向が分かりやすくなるように、前後または左右に全周灯を2つ取り付けることが推奨されます。
ただし、安全性を考慮すると、他の船舶が夜間に進行方向を確認できるように緑灯や紅灯を設置している方が、衝突の危険性は低くなるでしょう。
- 全周灯は対になるように2つ(ランタンなどで応用可)
- 一般船舶と同じ緑灯と紅灯の使用が安全性が高い
夜間釣行の危険性とリスク対策
ここでは、2馬力ボートでの夜間釣行のリスクや危険性について解説していきますので、安全対策に役立ててください。
他船との衝突事故のリスク
2馬力ボートの夜釣りでは特に他船との衝突事故の危険性が高くなります。
もともと目立ちにくい2馬力ボートは日中でも、自船を発見し認識してもらうためにセーフィティフラッグなどのアピール力の高いアイテムを使用していますが、それでもニアミスや接触事故の可能性はなくなりません。
そのため、セーフィティフラッグなどのアイテムが使用できない夜間は、さらに衝突の危険性が高くなります。
夜間釣行時の衝突事故の危険性を減らすためには、全周灯などの灯火類を設置し、しっかりとアピールすることが重要です。
また、ほかの船舶の航路で夜釣りは絶対にしないようにしましょう。
- 全周灯の設置
- 航路での釣りは避ける
出航場所が分からなくなる
2馬力ボートで夜釣りに行くと、自船が出航した場所が分かりづらくなり帰港できなくなる恐れもあります。
実際に、夜間航行したときに感じたことなのですが、海上に出てみると思っていた以上に陸地の明かりが届かず自船が何処にいるのか、どの方向を向いているのか分からなくなることがありました。
また、波の影響で浮き沈みするボートでは、陸地の明かりが見えていたとしても見え隠れするため、出航場所が何処なのかの判断は難しくなります。
そのため、夜間航行や夜釣りの際には自船の位置が分かるように、GPSプロッター魚探を装備しておくことが安全対策として有効です。
- GPSプロッター機魚探が必須!
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波や風の状況が分かりにくい
一般的に日中の波や風が急変する予兆として6つのことが言われますが、それらはすべて目視できる日中だからこそ有効で、判断材料として使用できます。
- 水平線がギザギザに見えたら、波が高くなる
- 沖の海面に白波が見え始めたら、波や風が強くなる
- 水面が黒っぽくなってきたら、風が強まる
- 雲の接近とともに風が強くなったら、荒天の予兆
- 積乱雲が接近したら、荒天の予兆
- 好天なのに漁船が急いで帰港する時は、荒天になる
しかし、夜釣りでは目視できないため予兆として捉えることができず、判断することはできません。
そのため、夜釣りでは事前に天気予報や波情報を何回も確認し、日中より厳しい目安で出航の判断をしましょう。
- 出航の判断は日中よりもきびしく!
2馬力ボートでの夜釣りの感想
2馬力ボートで実際に夜釣りに行ってみた感想としては「日中よりも怖い」と感じましたが、怖いと感じた理由として、周りの状況が把握できないということがあります。
2馬力ボートなどの小型の船舶は特に横波に弱く、横波を受けた場合転覆の可能性が高くなるので、できる限り横波を受けないように操船します。
しかし、夜釣りではどの方向からどの角度で波がきているのか判断できないので、横波をまともに受けてボートが傾くことがありました。
幸いにも転覆するようなことなありませんでしたが、大きな波であれば転覆していたかもしれません。
上記画像は夜釣りでの釣果ですが、19時ごろ出船し0時帰港、朝まずめを狙い釣行終了となりましたがそれなりの釣果がでました。
夜釣りと日中の釣りを同時に経験しましたが、やはり夜間のほうが釣りはしづらく、危険を感じることが多かったので、2馬力ボートで夜釣りをするのであれば、しっかりとした準備が必要にになると感じました。
2馬力ボートの夜釣りは慎重に!
2馬力ボートでの夜釣りや夜間航行は、全周灯さえ設置していれば法に触れるようなことはありませんが、危険の多い夜釣りや夜間航行は「慎重すぎるぐらい慎重」に行うのが正解です。
海上では夜間に操業する船舶も多く、大型船からすると2馬力ボートは見えづらく、接触したとしても気が付かれない可能性もあり、また、海上での船舶同士の事故において過失割合が認められれば、賠償責任を負う必要もあるでしょう。
そのため、2馬力ボートで夜釣りをするのであれば出航場所を日中に確認し、船舶の航路やブイの位置などを、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。
また、実際に出船して波の立つ位置や潮の流れなど、海上の変化があるポイントも合わせて把握しておく必要があります。
ターゲットとなる魚種によっては夜行性であることも多く、夜釣りは有効な手段になりますが、2馬力ボートでの夜釣りにおいては慎重に慎重を重ね、安全第一で夜釣りを行う必要があるでしょう。
まとめ
2馬力ボートでの夜間の釣りや航行は、十分な準備と慎重な行動が必要です。
国の方針や法定灯火設備、海上での安全対策など、様々なポイントを押さえて楽しく安全な夜釣りを心がけましょう。
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