免許不要で操船できる2馬力ボートには、一般的な船舶の法律は適用されません。
しかし「海上ルール」が適用されないからと守らなくてもよいというわけではなく、しっかりと海上ルールについて知っておかないと、ほかの船舶との接触事故や思わぬトラブルに合う可能性も高くなり、非常に危険です。
そこでこの記事では、誰も教えてくれない海上ルールについて詳しく解説していきますので、しっかりと覚え、安全航行に役立ててください。
2馬力ボートに法律が適用されない理由
現在の日本には「2馬力ボート」といわれる明確な区分はなく、免許が必要になる船舶が遵守している海上ルールのほとんどが適用されません。
2馬力ボートはもともと「小型船舶」に分類されており船舶免許が必要でしたが、平成15年の制度改定により2馬力ボートは小型船舶対象外となり、海上ルールに関するほとんどの法律が適用されなくなったのです。
その為、免許不要の2馬力ボートの条件である「ボート長3m以下・船外機の出力1.5kw以下」を満たしていれば、誰でも条件なしで操船できるようになりました。
しかし、免許不要ということは海上ルールを誰にも教わることがないので、いざ海上に出てみても何もわからない、知らないということになります。
他船は海上ルールを守り航行していても、何も知らない2馬力ボートは合わせて航行することができないので、接触事故につながることもあり非常に危険です。
その為、法律は適用されなくても、基本的な海上ルールはしっかりと把握し守りましょう。
- 日本の法律には2馬力ボートの基準がない!
- 平成15年までは2馬力でも免許が必要だったが、規制緩和により免許不要となった!
- 海上ルールを知らないのは逆走する車両と同じ!
【免許不要】2馬力ボートの3つの条件とは?船舶検査も必要ないの?
2馬力ボートでも最低限の海上ルールの把握が必要!
免許不要で海上ルールが適用されない2馬力ボートでも、ほかの船舶が海上ルールにのっとり航行している以上、航行に必要な最低限の海上ルールは知っておかなければなりません。
ここでは、安全航行に必須の海上ルールについて解説していきますので、しっかりと覚えておきましょう。
海上衝突予防法
海上衝突予防法から2馬力ボートに必要な2つの海上ルールについて解説します。
行会い船は右側通航
海上衝突予防法は、船舶が海上で衝突を防ぐために定められた法律や規則のことで、2馬力ボートでも必ず守っておくべき海上ルールが「行会い船は右側通航」になります。
海上では基本的に右側航行となり、お互いに向かい合った状態で航行している時には、右側に航路をずらす必要があります。
横切り船は相手を右に見る側が避ける
自船の進行方向において他船が右側から横切ろうとしている場合には「横切り船は相手を右に見る側が避ける」と海上ルールで定められています。
他船が左舷側から横切ろうとしている場合には、他船から見て自分の船が右側から横切る形になるので、回避は左舷側に見える船舶が行います。
- 海上衝突予防法は衝突を防ぐための法律で2馬力ボートも順守が必要!
- 海上では右側航行が基本
- 行会い船は右側通航・横切り船は相手を右に見る側が避けると覚えよう!
港則法・海上交通安全法
港則法(こうそくほう)は、港内における船舶交通の安全に関わる重要な法律で、2馬力ボートにも必要な海上ルールです。
その中でも重要なルールが港の入り口では「右小回り、左大回り」というルールになります。
防波堤や埠頭などの突端は、船同士が見通せない場所なので、衝突や接触が起こりやすく特に注意が必要な場所になります。
そのため、このような場所では、突端を右側に見る船は、できるだけ近くを通る小回りで進み、突端を左側に見る船は、遠ざかって大回りで進むことが原則とされています。
また、港の入り口や航路は船がよく行き交う場所なので、ボートを停めて釣りをするのは絶対にやめておきましょう。
- 港の入り口では「右小回り、左大回り」が重要で、突端では特に衝突に注意が必要!
- 港則法は船舶交通の安全を規定する法律で、2馬力ボートにも順守が必要!
- 港や航路は船が頻繁に行き交う場所で、釣りをすることは避けるべき。
2馬力ボートで守りたい3つのマナー
ここでは、2馬力ボートの守るべき3つのマナーについて解説していきます。
港湾施設利用は許可を取る
港湾施設を利用する際は、まず許可を取ることが大切で、無断での利用は思わぬトラブルにつながる可能性があります。
漁港内のスロープを利用させてもらう場合には、管理者の許可を取り決まり事や注意事項を把握したうえでの利用が望ましく、港湾管理者や関係機関からの許可を得ることで、安全かつ円滑な利用が可能となります。
また、場所によって違いはありますが、漁港施設の利用には料金が発生することもあるので、それぞれの施設が定めた利用料金をしっかりと納めましょう。
漁港内のスロープ利用の許可はどこでもらえるの?許可取得までの流れを解説します!
漁港関係者に配慮する
特に漁港関係者との関係性は非常に重要で、漁業関係者は「仕事」で利用させてもらう私たちは「レジャー」となります。
その為、漁港では漁業に従事する人々の作業を妨げないよう配慮する必要があり、漁業関係者優先は当たり前のマナーで常識です。
漁港内だけではなく海上でも同じように定置網や養殖いけす、漁船の近くなど釣れそうな場所であっても近寄って釣りをするべきではありません。
また、漁港施設の利用は「漁港における漁業活動に支障のない範囲内」となっているので、支障があると判断されれば、利用はできなくなります。
そのような状況を避けるためにも、漁業関係者優先で漁業活動に支障が出ないよう配慮して、2馬力ボートを楽しみましょう。
常識的範囲内での利用
2馬力ボートを利用していると楽しさから、周りへの配慮を忘れてマナー違反や危険行為をしてしまうことがあります。
具体的な例では、水上バイクなどの小型船舶が異常なスピードで遊泳者の近くを航行したり、海上ルールを守らずに楽しんでいることがありますが、このような行為は2馬力ボートでも同じく危険であり、マナー違反です。
危険な状況が続けば出船場所が制限され、最悪の場合には出航できなくなることも考えられます。
また、港湾施設の利用は常識的な範囲内で行われるべきで、施設や周辺環境への配慮が必要であり、ゴミの適切な処分や騒音の防止など、周囲の環境に対する配慮が重要です。
さらに、施設の設備や機器の破損や不正使用を避けるためにも、利用者は責任を持って適切にマナーを守って利用しなければなりません。
船長という自覚を持とう!
2馬力ボートで海上ルールやマナーを守るためには「船長である」という自覚が必要になります。
自由で気ままに楽しむことができる2馬力ボートには、大きな魅力と可能性がありますが、同時に危険なことも多くあり、仮に接触事故や転覆、落水事故などが起きてしまった場合、責任は船長である自分自身が取らなければなりません。
トラブルを避けるためには、海上ルールを守りマナーに基づいた行動が必要になりますが、これは自分が船長であると自覚することで、意識できるようになるでしょう。
また、海上や水上の変化は速く、穏やかであった海面が航行できないほどあっという間に大荒れし、判断が少し遅れただけで、転覆や落水など身の危険を感じる状況に追い込まれる可能性もあります。
そのような場合でも船長という自覚があれば、早めの判断で事前危険を回避できるので、2馬力ボートを楽しむ時には「自分が船長である」ということを常に意識しておきましょう。
- 2馬力ボートを利用するには、船長としての責任を自覚することが必要。
- 海上ルールとマナーを守り、常に船長であることを意識して行動することが重要。
まとめ
2馬力ボートは免許不要で操船できるといった大きなメリットがある反面、操船者自身が海上ルールを知らないという怖さもあります。
海上ルールを知らないまま操船し、海上を航行することは非常に危険です。
法律は適用されなくても最低限の海上ルールを理解し、マナーを守って2馬力ボートを楽しみましょう。
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