自由で気ままに好きな海釣りを楽しめることから、2馬力ボートの人気が高まっており、自分でも購入して楽しみたいと思っている方が多くなっています。
しかし、2馬力ボートで海釣りを始めるのであれば、2馬力ボートについて詳しく知っておかないと、後悔してしまったり、海難事故の危険性も高くなります。
そこでこの記事では、実際に2馬力ボートオーナーとして海釣り歴10年以上の経験から、2馬力ボートで海釣りをする前に、知っておくべき10のことについて解説していきます。
また、海上での事件や事故などは「118番」なので、海上における事件・事故の緊急通報用電話番号として覚えておき、何かあった場合には「いつ」、「どこで」、「なにがあった」など簡潔に落ち着いて通報してください。
免許不要の2馬力ボートとは?
船舶操縦免許が不要になるボートの定義は3つ
- ボートの全長が11f(3.33m)以下
- エンジンの出力が1.5KW以下
- 停止措置や保護装置を有するもの
となっており、詳しく解説していきますと、
2馬力ボート長さは「3m」以下とよく表記されていますが、登録長と呼ばれる船舶を登録するときに用いられる計算方法で算出されるため、実際には11ft (3.33m) までの船舶が免許不要で操船できるボートの最大長さになります。
- ボートの全長 × 0.9で計算
- (例)ボートの全長 3.33m × 登録長 0.9 = 2.997m
※船型によって「登録長」の定義が異なり、3.33m を超えても免許不要の場合があります。
次に、船外機の出力は馬力ではなく kW (キロワット) で表されますが、船舶操縦免許不要で操船できる基準値は1.5kw以下と定められています。
エンジン式の2馬力船外機であれば、出力換算で1.47kwとなっているので、問題なく免許不要で操船できます。
エレキエンジンも同じ条件で1.5kw以下のエンジンであれば、こちらも免許は不要になりますが、どちらのエンジンも併用はできません。
- エンジン式×2=不可
- エレキモーター×2=不可
- エンジン/エレキの併用=不可
最後に、停止措置や保護装置を有するものとなっていますが、停止措置や保護装置を有するものとは、直ちにプロペラの回転を停止することができる機構を有する船舶、その他のプロペラによる人の身体の傷害を防止する機構を有する船舶となっています。
例として、非常停止スイッチ、キルスイッチ、遠心クラッチ、中立ギア、プロペラガード等の装置などがあります。
上記の装置は基本的に2馬力船外機や、1.5kw以下のエレキエンジンにはもともと備わっているので条件はクリアしています。
- ボートの全長が11f(3.33m)以下
- 船外機の出力1.5KW以下
- 停止措置や保護装置を有するもの
免許不要の2馬力ボートについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
2馬力ボートはどこまでいける?
結論から申し上げますと2馬力ボートは「どこまででも行ける」が答えとなります。
2馬力ボートの条件を満たしたボートは、カヤックや手漕ぎボートと同じ扱いとなり、航行範囲の制限はなく時間や燃料が許すのであれば、どこまででも走行可能となっています。
しかし、航行範囲を制限する法律はなくても、一般的な船舶と比べて全長が短く、安定性に欠ける2馬力ボートでは、岸から1㎞、出航場所から2㎞の範囲での使用が推奨されています。
実際に、私は出航後にエンジンがかからなくなり、オールで漕ぎながら帰港を目指しましたが、運よく仲間のボートに曳航してもらい事なきを得ました。
また、2馬力ボートで出船する時には風や、波高にも注意が必要で遊漁船などでは問題にならない場合でも、2馬力ボートにとっては非常に危険なこともあるので、客観的に判断できる能力も必要になります。
- 2馬力ボートに航行範囲制限はなし
- 安全のために岸から1㎞、出航場所から2㎞が推奨範囲
2馬力ボートの航行範囲や出航できる風や、波高について詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
2馬力ボートの危険性
最大で11ft(3.33m)しかない小さな2馬力ボートには、一般的な遊漁船やプレジャーボートよりも危険なポイントがいくつかあります。
- 他船から認識されにくい
- 海面までが近い
- 安定性が低い
- 風や潮流に大きな影響を受ける
上記したように2馬力ボートには、小さな船体だからこその危険があり、どんな危険があるのかを知っておかないと対処できず、大きな事故につながりかねません。
例えば、小さなシルエットの2馬力ボートは波間に入ると他船から見えなくなり、海上での接触事故の危険性が高くなります。
また、海面までが近いことで少しバランスを崩しただけでも、落水の危険がありライフジャケットの着用は必須です。
さらに、安定性が低く風や潮流に大きな影響を受ける2馬力ボートは、転覆の可能性もあり慎重な操船が求められます。
このように、2馬力ボートには多くの危険があり、知っておかないと後悔することにつながります。
しかし、危険性を知ったうえできちんと対処できれば、安全に安心して海釣りを楽しむことができるので、しっかりと理解しておきましょう。
- 他船から認識されにくい
- 海上までが近い
- 安定性が低い
- 風や潮流に大きな影響を受ける
2馬力ボートの危険性について、もっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
最低限の海上ルールは守る
2馬力ボートで海釣りを楽しむのであれば「最低限の海上ルールとマナーは守る」必要があります。
2馬力ボートは免許不要で操船できますが、免許がいらないということは海上の法律を知る機会がないということなので、非常に危険な状態にあるといえます。
例えば、海上では基本的に右側航行となり、お互いに向かい合った状態で航行しているときには、右側に航路をずらす必要があります。
上記海上ルールは、行会い船は右側通航と呼ばれるルールですが、海上を通行するすべての船舶がこのルールに従い、接触事故を防いでいます。
その中を、海上ルールを知らない2馬力ボートが右側通航ではなく、左に舵を取ればどうなるかは簡単に想像できるはずです。
そのため、2馬力ボートで海釣りを始めたいのであれば、最低限の海上ルールを自身で学び、衝突事故などを避けられるようにならなければなりません。
2馬力ボートで海上に出れば自身が船長であり、起こるトラブルの責任は船長である自分で取らなければならないので、最低限の海上ルールはしっかりと覚えて2馬力ボートでの海釣りを始めましょう。
- 行会い船は右側通航
- 横切り船は相手を右に見る側が避ける
2馬力ボートで海釣りを始めるのであれば、最低でも上記した2つの海上ルールは覚えておきましょう。
海上ルールについてもっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
2馬力ボートの選び方
2馬力ボートで海釣りを始めたいのであれば「ボートの選び方」も重要なポイントになります。
2馬力ボートに使用されている素材には「ゴム」と「FRP」があり、それぞれ特徴やメリット、デメリットが違うため、しっかりと把握して選ぶ必要があります。
- 保管スペースが少なく済む
- 輸送が楽
- 安定感がある
- 船内スペースが狭い
- 出船までに時間がかかる
- メンテナンスが手間
- 壊れにくい
- 出船までが早い
- 船内スペースが広い
- メンテナンスが楽
- 輸送方法が限られる
- 広い保管スペースが必要
このように2馬力ボートは素材によってメリットやデメリットが違うので、自身のフィッシングスタイルに合った素材のボートを選びましょう。
2馬力ボートの選び方について、もっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
【2馬力】FRPボートとゴムボートはどちらを選ぶべき?2馬力ボートにはどちらがおすすめ?
安全にかかわるアイテムは必ず持ち込む
2馬力ボートで海釣りを始める前に、安全にかかわるアイテムは必ずそろえて、2馬力ボートに持ち込みましょう。
2馬力ボートに持ち込むアイテムの優先順位は、命にかかわるアイテムを最優先に、次に釣果にかかわるアイテムの順でそろえていくのがおすすめです。
- ライフジャケット
- ロープ切断用ナイフ
- 曳航用ロープ
- アンカー
- ガソリン予備タンク
- オール
- シャーピン/割りピン
- セーフティーフラッグ
上記したアイテムが最重要アイテムで、万が一のトラブルに対処するためのアイテムも含まれます。
例えば、エンジントラブルで多いシャーピンや割りピンの破損は、駆動部に無理な力が加わった時にあえて破損させることで、エンジンを守ることができる保険のようなものです。
その場合、エンジンからの力がプロペラに伝わらなくなるので、推進力はなくなり交換部品を所持していないと最悪の場合、漂流といった最悪の事態も考えられます。
また、シャーピンや割りピンの交換時や、その他エンジントラブルで推進力がなくなった場合に備えて、シーアンカーも必ず常備しておく必要があります。
そのため、さまざまなトラブルに備えて2馬力ボートに必要とされるアイテムについては、必ずそろえて船内に持ち込みましょう。
- 命にかかわるアイテム最優先
- 次に釣果につながるアイテム
2馬力ボートに必要なアイテムについて、もっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
釣果を出したいなら魚群探知機は必須!
2馬力ボートでの海釣りで、釣果を出したいのであれば「魚群探知機は必ず必要」です。
●2馬力ボートでの海釣りで魚群探知機が必要になる理由
- 2馬力ボートの航行速度の遅さを補うため
- ポイントを見つけるため
まず、2馬力ボートの航行速度は「10km以下」の速度しか出せず、潮流の影響や風の影響を強く受ける場合、半分程度の5km程度の速度しか出ない場面もあります。
そのため、2馬力ボートは行動範囲が狭く、無駄な移動やカンでの魚群探しは時間の無駄になり、釣りをする時間が減るだけです。
また、どれだけ的確に魚がいるポイントを攻められるかが釣果に直結するので、水中を可視化できる魚群探知機の存在は外せません。
2馬力ボートにおすすめの魚群探知機の基準としては
- GPS機能搭載機種
- ポータブル性能
などが魚群探知機選びの基準となり、自船の位置がわかるGPS機能搭載機種を選び、狭い船内スペースでも邪魔にならないように、コンパクトでポータブル性能に優れた魚群探知機が最もおすすめです。
これから2馬力ボートで海釣りを始めたいのであれば、魚群探知機は必ず必要になるので、早い段階で購入することをおすすめします。
- 2馬力ボートの航行速度の遅さを補うため
- ポイントを見つけるため
魚群探知機選びの基準として
- GPS機能搭載機種
- ポータブル性能
2馬力ボートに魚群探知機が必要な理由や、選び方の基準についてもっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
漁港内スロープは無断使用しない!
漁港内にあるスロープは、関係者以外でもしっかりと許可を取り、条件を満たすことで使用できるようになります。
- 漁港利用のニーズがあること
- 漁業情勢の変化
- 漁閑期の都合など
実際に、国からの方針として「漁港利用に支障がないと判断する場合」には「公共施設としてこれらのニーズに応えていく必要がある」と各都道府県知事宛てに通達が出されています。
つまり、国としてのスタンスは「漁港内施設の利用ニーズに応えていく」ということです。
しかし、注意点として「漁港における漁業活動に支障のない範囲内」となっているため、漁業関係者の邪魔になると判断されれば、使用できないこともあります。
そのため、管理者にしっかりと確認を取り許可を受けたうえでスロープを利用し、漁港内のルールや海上でのマナーなどを守り、漁業関係者優先で2馬力ボートでの海釣りを楽しみましょう。
- 関係者以外でも利用できる
- 利用には許可を取る
- 海上ルールとマナーを守る
漁港内スロープ利用に関してもっと詳しく知りたい、許可の取り方が分からないという方は、下記記事がおすすめです。
タックルは兼用で選ぶことが重要
2馬力ボートでは、狭い船内スペースを有効に活用するため、タックルは「兼用」で選ぶといいでしょう。
2馬力ボートの最大サイズは全長3.33m、全幅は約1.5m程度しかなく、ゴムボートであれば内寸が約180cm×70cm程度しかありません。
そのため、多くのタックルやクーラーボックスを積み込むと、船内が狭くなり、たとえ4人乗りのボートであってもストレスを感じることもあるでしょう。
狭い船内スペースでも、ストレスなく海釣りを楽しみたいのであれば、船内に積み込むアイテムを厳選し、兼用で使用することです。
●タックル兼用の例
- ジギング/タイラバ
- キャスティング/ジギング
- 椅子/クーラーボックス
- タックルボックス/ロッドホルダー
- タックルボックス/魚群探知機架台
など、いくつかのアイテムを兼用することで船内スペースを確保し、快適に海釣りを楽しむことができるでしょう。
- 狭い船内スペースでもストレスにならない選び方
- タックルの兼用がおすすめ
2馬力ボートで海釣りをするときに必要なタックルや、選び方の基準についてもっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
無理と油断は絶対にしない
2馬力ボートで海釣りを始めたいのであれば、「無理と油断は絶対にしない」ということは覚えておきましょう。
なぜなら、2馬力ボートは一般的なボートと比べてデメリットが多く、危険な状況に陥りやすいからです。
- 航行速度が遅い
- 波に弱い
- 安定性が低い
- 他船から認識されにくい
など、2馬力ボートだからこその危険があり、少しの判断ミスが接触事故や海難事故につながることもあります。万が一そのようなトラブルが起きれば、賠償責任問題にもなりかねません。
2馬力ボートは免許不要で「自由で気まま」に好きな海釣りを楽しめることが魅力ですが、自由である反面、責任も伴います。
トラブルを回避するためには、「船長である」という自覚を持ち、無理と油断は絶対にせず、早めの判断や行動を心掛けることが重要です。
- 2馬力ボートのデメリットを理解する
- 船長としての自覚が必要
- 無理と油断は絶対にしない
まとめ
2馬力ボートで海釣りを始めるために必要な10のポイントとして
- 免許不要の2馬力ボートとは
- 2馬力ボートがどこまでいけるのか
- 2馬力ボートの危険性
- 最低限の海上ルールは守る
- 2馬力ボートの選び方
- 安全にかかわるアイテムは必ず持ち込む
- 釣果を出したいなら魚群探知機は必須
- 漁港内スロープは無断使用しない
- タックルは兼用で選ぶことが重要
- 無理と油断は絶対にしない
上記10項目が、2馬力ボートで海釣りを楽しむために知っておくべきことになり、安全にストレスなく2馬力ボートで海釣りを楽しむためには、上記10項目をしっかりと理解しておく必要があります。
また、不要なトラブルを避けるために、免許は不要でも船長としての自覚を持ち、海上ルールやマナーを守って2馬力ボートでの海釣りを楽しみましょう。
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