2馬力エンジンにはいくつかのメーカーがあり、それぞれに特徴がありメリットやデメリットも違うので、選ぶときには悩みますよね。
しかし、逆にそれらのことが分かっていれば自分のフィッシングスタイルに合ったエンジンを選びやすくなりますよね。
そこでこの記事では、2馬力ボート歴15年以上の経験をもとに、エンジンのスペックや特徴について解説していきたいと思います。
2馬力エンジンメーカーは5社

2馬力船外機を制作している製造メーカーは
●トーハツ株式会社
●ホンダ
●スズキ株式会社
●ヤマハ株式会社
●マーキュリー
上記の5社となり、同じ2馬力船外機でもそれぞれ特徴が違うので、当然メリットやデメリットも違ってきます。
筆者の周りや出船時に会う2馬力ボートユーザーの中ではトーハツとホンダが同率ぐらいで多く、次いでスズキ→マーキュリー→ヤマハの順で使用者が多くなっています。
2馬力エンジンの燃費は?

2馬力エンジンの平均的な燃費は「1リットル=7㎞程度」となっています。
上記した燃費は、実際に私がトーハツMFS2Cを使用して計測したものですが、どのメーカーのエンジンも燃費に大きな差はなく、フルスロットルで約1時間の航行が可能です。
しかし、使用する場所が潮の流れが速く、潮の流れが逆の場合、航行速度も遅くなるため、燃費が4㎞程度に落ちることもあります。
そのため、携行缶で燃料を持ち込まないと燃料切れになり、漂流してしまう可能性があるので、予備の燃料を必ず持ち込む必要があります。
2馬力エンジンの燃費や燃費計算方法について、もっと詳しく知りたい方は下記記事がおすすめです。
【燃費計算】2馬力ボートの燃費は?平均速度とスピードアップさせるための方法とは?
2馬力エンジンの選び方
メーカー | モデル名 | 冷却方式 | 排気量 (cc) | 重量 (kg) |
---|---|---|---|---|
トーハツ | MFS2C | 水冷 | 86 | 約18.4 |
ホンダ | BF2DH | 空冷 | 57 | 約13.6 |
スズキ | DF2 | 水冷 | 68 | 約14 |
マーキュリー | 2stモデル | 水冷 | 75 | 約12.7 |
ヤマハ | F2BMH | 水冷 | 72 | 約17 |
2馬力エンジンを選ぶときには、それぞれの特徴を知っていないと選ぶことが出来ません。
ここでは、エンジン選びで重要になるポイントについて解説していきますので、エンジン選びの参考にしてみてください。
空冷式or水冷式
2馬力エンジンの冷却方法には空冷式と水冷式の2種類があり、メリットやデメリットの違いがあります。
メリット
- 水を循環させるためのインペラや、サーモなどがないのでメンテナンスの必要がなく、水を循環させていないので、使用後の水通しの必要がなく手間が少ない。
デメリット
- 風を効率よく取り込んでエンジンを冷やすので、ダクト内に塩水が入りサビやすく、外気温が高いときには十分な冷却効果を得られないことも
メリット
- 外気温が高い夏場でもエンジンを直接水で冷やすので冷却能力が高く、空冷式のように空気を取り込むための隙間がないので錆びにくい。
デメリット
- 水を散りこんで冷却するので海水での使用後には、しっかりと水通しを行う必要があり、それにかかるインペラ部分などのメンテナンスが必要。
どちらの方式にもメリットとデメリットがあるので、しっかりと検討してから選ぶといいでしょう。
クラッチの方式
2馬力エンジンのクラッチには前進・中立クラッチと、遠心クラッチの2種類があり、前進・中立クラッチはクラッチレバーの操作によって前進ができる最も一般的なクラッチになります。
遠心クラッチにはクラッチレバーはなく、アクセルの操作によって前進、中立の操作を行います。
分かりやすいところでは、スクーターなどの操作と一緒でアクセルoffの時には中立、開け具合によって前進のスピードを調整することが出来ます。
船外機の重量
2馬力エンジンの重量はメーカーによって大きな差があり、一番軽いエンジンでは13㎏程度ですが、18㎏以上もあり、エンジン選びの重要なポイントの一つになります。
たった5㎏程度の差と感じるかもしれませんが、足場の悪い沿岸で2馬力ボートを組み立てるのであれば、持ち運びに苦労することは間違いありません。
エンジンドーリーがあれば問題ありませんが、そうでないのであればエンジンの重量も加味して選ぶといいでしょう。
エンジン構造
2馬力エンジンには4ストと2ストの2種類があり、2ストエンジンでは混合ガソリンが必要になります。
2ストエンジンは4ストに比べてエンジン音も大きく、排気ガスのにおいも強いので苦手に感じる方も少なくありません。
しかし、2ストエンジンは構造が単純で修理、メンテナンスが出来ることも多いのでコスト面では優秀でしょう。
各社2馬力エンジンのスペックとメリットデメリット
メーカー | トーハツ | ホンダ | ヤマハ | マーキュリー | スズキ |
---|---|---|---|---|---|
エンジン構造 | 4サイクル | 4サイクル | 4ストローク | 2ストローク | 4ストローク |
排気量 | 85.5cc | 57cc | 68cc | 75cc | 72cc |
最大出力 | 5000rpm | 6000rpm | 5500rpm | 5300rpm | 5500rpm |
冷却方式 | 水冷式 | 空冷式 | 水冷式 | 水冷式 | 水冷式 |
アクセル方式 | バーハンドル | バーハンドル | バーハンドル | Fパネル レバー式 | バーハンドル |
クラッチ方式 | 前進・中立 | 遠心クラッチ | 前進・中立 | 前進・中立 | 前進・中立 |
燃料/タンク容量 | 無鉛ガソリン/1.0L | 無鉛ガソリン/1.1L | 無鉛ガソリン/0.9L | 混合ガソリン/1.4L | 無鉛ガソリン/0.9L |
重量 | 18.4kg | 13.6kg | 14kg | 13kg | 17kg |
特長 | 最大排気量、パワーが高い | 最軽量、メンテナンス簡単 | 水冷式で軽量化、安定性高い | 最軽量、瞬発力とパワー強調 | 標準的な性能、耐久性あり |
ここでは2馬力船外機のスペックや特徴、メリットやデメリットについて解説していきますので、船外機購入の参考にしてみてください。
【トーハツ】MFS2C
項目 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
エンジン構造 | 4サイクル | 燃費・静音性に優れる |
排気量 | 85.5cc | 全機種中 No.1 |
最大出力 | 5000 rpm | / |
冷却方式 | 水冷式 | 安定した冷却性能 |
アクセル方式 | バーハンドル | 操作しやすい |
クラッチ方式 | 前進・中立 | シンプル操作 |
燃料/タンク容量 | 無鉛ガソリン/1.0L(内蔵) | 給油しやすい |
重量 | 18.4kg | 全機種中最も重い |
トーハツの2馬力エンジン「MFS2B」は、多くのユーザーに使用されている人気の高いエンジンです。
人気の理由の一つは排気量の大きさで、全機種中で第1位となる85.5ccの排気量を誇り、加速性能に優れており、2馬力の中ではパワーがあります。
本体重量は18.4キログラムと最も重い部類に入りますが、それをデメリットとできないほどの魅力を備えた船外機であり、スピードとパワーを重視したいユーザー向けの一台です。
トーハツのエンジンは専用のフラッシングアタッチメントを取り付けることで、メンテナンスが非常に楽になるため、同時購入がおすすめです。
【ホンダ】BF2DH
項目 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
エンジン構造 | 4サイクル | 燃費・静音性に優れる |
排気量 | 57cc | 全機種中最小 |
最大出力 | 6000rpm | 高回転タイプ |
冷却方式 | 空冷式 | 水通し不要の簡単メンテ |
アクセル方式 | バーハンドル | 操作しやすい |
クラッチ方式 | 遠心クラッチ | ホンダのみの採用 |
燃料/タンク容量 | 無鉛ガソリン/1.1L(内蔵) | 給油しやすい |
重量 | 13.6キログラム | 軽量設計 |
2馬力エンジンの中では唯一の空冷式を採用し、使用後に手間となる水通しのメンテナンスが不要なことが人気の理由です。
また、クラッチ方式も2馬力エンジンで唯一の遠心クラッチを採用しており、スクーターなどと同様にアクセル操作だけで前進させることができます。
使用後のメンテナンスを減らしたい方や、楽に持ち運びたい方にはおすすめです。
【スズキ】DF2
項目 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
エンジン構造 | 4ストローク | 燃費・耐久性に優れる |
排気量 | 68cc | 適度な排気量 |
最大出力 | 5500rpm | バランス型の出力 |
冷却方式 | 水冷式 | 安定した冷却性能 |
アクセル方式 | バーハンドル | 操作性良好 |
クラッチ方式 | 前進・中立 | オーソドックスな切替 |
燃料/タンク容量 | 無鉛ガソリン/0.9L(内蔵) | コンパクト設計 |
重量 | 14キログラム | 水冷式で最軽量 |
スズキの2馬力エンジン「DF2S」は、イージーメンテナンスが魅力のエンジンで、定期的なメンテナンスが必要となるインペラの交換も容易に行えます。
また、水冷式エンジンの中では最も軽量で、トーハツに比べて4キログラム以上軽く、持ち運びも楽に行えるでしょう。
トーハツと比較するとパワーではやや劣りますが、重量を重視する方にはおすすめの2馬力エンジンです。
【マーキュリー】2M 2スト
項目 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
エンジン構造 | 2ストローク | 瞬発力とパワーが特徴 |
排気量 | 75cc | 適度な排気量 |
最大出力 | 5300rpm | 少し低めの最大回転数 |
冷却方式 | 水冷式 | 安定した冷却性能 |
アクセル方式 | Fパネル レバー式 | レバー操作で直感的に前進 |
クラッチ方式 | 前進・中立 | 基本的なクラッチ方式 |
燃料/タンク容量 | 混合ガソリン/1.4L(内蔵) | 給油しやすい |
重量 | 13キログラム | 最軽量モデル |
ご紹介している2馬力エンジンの中で、唯一2ストロークエンジンを採用しているのがマーキュリーのエンジンです。
2ストロークエンジンの魅力は、燃焼効率が良く、発生するパワーも大きく、瞬発力に優れている点で、構造がシンプルなことから軽量化されており、クラス最軽量の13キログラムという重さのため、力に自信のない方でも運ぶことができます。
ただし、混合ガソリンを作る必要があることや、2スト特有の排気ガスのにおいがすること、アクセル操作が片手でできないなどのデメリットもあります。
そのため、多少の手間を惜しまず「パワー重視」で選びたい方には、おすすめできる船外機です。
【ヤマハ】F2BMH
項目 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
エンジン構造 | 4ストローク | 燃費・耐久性に優れる |
排気量 | 72cc | 標準的な排気量 |
最大出力 | 5500rpm | 高い回転数でバランス型 |
冷却方式 | 水冷式 | 安定した冷却性能 |
アクセル方式 | バーハンドル | 操作しやすい |
クラッチ方式 | 前進・中立 | 基本的なクラッチ方式 |
燃料/タンク容量 | 無鉛ガソリン/0.9L(内蔵) | コンパクト設計 |
重量 | 17キログラム | 比較的重め |
内蔵タンク式でありながら、他メーカーよりも気密性が高く、オイル漏れが非常に少ないのがヤマハ製2馬力エンジンの特長です。
72ccの小排気量でありながら、トーハツと比べて約1.5キログラムも軽量化されており、高いエンジン性能と操作性が魅力です。
2馬力エンジンのメンテナンスについて

2馬力エンジンの定期的なメンテナンスは、ユーザー自身が行う必要があります。
- エンジンオイル交換
- ギアオイル交換
- エンジンプラグの交換
これらのメンテナンスを怠ると、エンジンの寿命を著しく縮めてしまう可能性があり、海上でのエンジントラブルのもとにもなります。
エンジンオイル・ギアオイルの交換時期の目安は100時間または6ヵ月が推奨されており、私自身も交換時期の目安に合わせて交換しています。
また、オイルだけではなくエンジンプラグについても、1年または200時間ごと一回の交換が推奨されているので、オイル交換と合わせて点検し、適切に交換しなければいけません。
エンジンオイル・ギアオイル・エンジンプラグの交換は、やり方さえ知っていれば誰でも簡単に行えるので、しっかりとメンテナンスを行いエンジン寿命を延ばしましょう。
▼メンテナンス方法についてはこちら▼
【写真付き解説】トーハツ2馬力船外機のオイル交換方法とギアオイルの交換方法を解説!
2馬力ボートにはエレキという選択肢も!

2馬力ボートには、「エレキモーター」といった選択肢もあります。
2馬力ボートの基準とは、全長3.33メートル以下、出力が1.5キロワット以下の船外機となっており、この基準以下のエレキモーターであれば免許不要で操船できます。
しかし、エンジン式とエレキモーターでは、メリットやデメリットが大きく異なるため、使用環境や目的によって選ぶとよいでしょう。
メリット:静音性、環境に優しい、軽量、メンテナンスが楽
デメリット:航続距離が短い、出力が低い、電源が必要
注意点として、出力が1.5キロワット以下の船外機とエレキモーターを併用してしまうと、基準を超えてしまうため注意が必要です。
2馬力ボートには、エンジン式とエレキモーターのどちらがおすすめなのかについて、もっと詳しく知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
【2馬力ボート】にはエンジンとエレキどちらがおすすめ?取り付けられる基準とメリット/デメリット!
まとめ
2馬力ボートのメーカーは「トーハツ株式会社・ホンダ・スズキ株式会社・ヤマハ株式会社・マーキュリー」の5社で、トーハツやホンダが人気が高くなっています。
各メーカーによって燃費に大きな違いはなく、約7㎞程度が平均的な燃費となっていますが、冷却方式やクラッチの方式、エンジン構造や重量に違いがあるため、上記した2馬力船外機総合比較表を参考に選んでみてください。
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