2馬力ボートで使用する動力には、エンジン式とエレキモーターがあり、どちらを選べばよいのか悩みますよね。
どちらの動力にも向き・不向きやメリット・デメリットがあるため、しっかりと理解して選ばないと、後悔してしまうことも少なくありません。
そこで今回は、2馬力ボート歴15年以上の経験を基に、2馬力ボートにはエンジン式とエレキモーターのどちらを選ぶべきなのかについて解説します。
2馬力ボートに取り付けられるエンジンとエレキの基準

2馬力ボートの基準とは、全長3.33m以下、出力が1.5kW以下の船外機となっており、この基準を上回る出力の船外機を船体に取り付ける場合には、船舶免許が必要となります。
注意点として、船外機の1.5kW以下というのは、あくまでもボート全体の基準であり、1.5kW以下のエンジンやエレキモーターを同時に使用したり、複数使用したりすることはできません。
- エンジンとエレキの併用
- エンジン×2基
- エレキモーター×2基
上記の組み合わせはすべて不可であり、仮に海上保安庁が行う臨検などで不法行為が発覚した場合には、検挙される可能性があります。
そのため、2馬力ボートの「3.33m以下・1.5kW以下の船外機」という基準をしっかりと守り、ボートライフを楽しみましょう。
2馬力ボートの基本についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
【免許不要】の2馬力ボートの3つの条件とは?船舶検査も必要なし!
2馬力エンジンのメリットとデメリット
ここでは、2馬力エンジンのメリットやデメリットを、エレキモーター比較してご紹介していきます。
エンジンのメリット
スピードが出やすい!
まず、2馬力エンジンの最大のメリットは「スピード」です。
エンジンタイプ | 出力 | 回転数 | トルク |
---|---|---|---|
ガソリンエンジン | 1.5 | 5000 | 約 2.87 |
エレキモーター | 1.5 | 800 | 約 17.9 |
ガソリンエンジンは、高回転でパワーを出すため、スピードが出やすく、高速走行が可能ですが、低速時の力は弱いといった特徴があります。
エレキモーターは、低回転でも大きなトルクがあるため、低速でも力強く動けますが、最高速は伸びにくくなっています。
そのため、ガソリンエンジンは、長距離の移動がある海や、広い湖など、移動距離が長くなる状況においてメリットがあります。
連続運転時間が長い!
エンジン式の船外機には、エレキモーターのように「連続運転時間」の制限がなく、燃料の続く限り航行することが可能です。
各エンジンメーカーによって多少の違いはありますが、約1リットルの燃料でフルスロットルの場合、おおむね1時間程度の航行が可能です。
連続で航行できるということは、それだけ早く目的地に移動することが可能になり、釣りを楽しむ時間が増えるため、大きなメリットとなります。
航行可能距離が長い!
エンジン式は、「航行可能距離が長い」ことがメリットの一つです。
容量約1リットル、フルスロットルで1時間の航行が可能なエンジン式の平均航行速度は、積み込んでいる荷物の重量や風向き、流れなどによって「5km~10km」の範囲です。
満タン給油の場合、一時間で出航場所から5km~10kmの範囲に到達することができます。
しかし、実際には携行缶で予備燃料を持ち込むため、約5倍(5リットル携行缶の場合)の範囲を探ることができます。
航行可能距離が伸びることで、それだけ多くのポイントを探ることができるようになり、釣果にもつながりやすくなる大きなメリットとなります。
エンジンのデメリット
エンジン音が大きい
エンジン式のデメリットとして、「エンジン音が大きい」ことが挙げられます。
仮に釣りでエンジン式を使用する場合、エンジン音が大きいことで、ターゲットに余計な警戒心を持たせてしまい、釣果に影響を及ぼす可能性があります。
特にバスフィッシングなどでは、岸辺近くにあるストラクチャーを中心に攻めていくため、どうしてもターゲットとの距離が近くなりがちで、エンジン音は釣果に大きくかかわります。
そのため、エンジン音の大きさはエンジン式船外機のデメリットとなります。
重量がある
エンジン式船外機のデメリットは、「重量が重い」ことです。
私が使用している船外機の重量をエレキモーターと比較してみると、
- 2馬力エンジン=約18kg程度
- エレキモーター=約10kg程度
基本的に、2馬力ボートは軽トレーラーなどで輸送しない限り、現地で組み立てることが多いため、船外機が重いことは移動時や組み立て時に労力が必要となり、デメリットの一つとなります。
メンテナンスが面倒
2馬力エンジンには、冷却方式に水冷式と空冷式があり、水冷式のエンジンでは使用後に水通しといったメンテナンスが必要になります。
特に海水域で使用した後、送水管内に塩分が残ってしまうと詰まりの原因となり、効率的にエンジンを冷やすことができなくなってしまい、トラブルにつながります。
また、エレキモーターでは必要のないオイル交換も定期的に行う必要があり、メンテナンスにかかる手間と労力はエンジン式のデメリットとなります。
2馬力エレキモーターのメリットとデメリット
ここでは、2馬力エレキモーターのメリットやデメリットについて、エンジン式と比べながらご紹介します。
エレキモーターのメリット
静音性が高い
エレキモーターのメリットの一つは、「静音性」が高いことです。
静音性が高いことで、ターゲットとなる対象魚に不必要な警戒心を与えにくく、特にバスフィッシングなどでは、静音性の高さが非常に有利になります。
また、出船場所付近や航行する近辺に住宅などの建造物がある場合にも、静音性の高さは重要で、音によるトラブルの軽減にもつながります。
そのため、エレキモーターの静音性の高さは大きなメリットがあるといえるでしょう。
軽い
エレキモーターのメリットの2つ目は、「軽い」ことです。
エレキモーターの重量は10kg程度で、エンジン式と比べると半分程度しかなく、組み立て時や移動にかかる労力を抑えられます。
2馬力エンジンのデメリットは航行速度の遅さにあり、少しでも手間を減らして組み立てや片付けができる重量の軽さは、エレキモーターの大きなメリットといえるでしょう。
メンテンナンスが楽
エレキモーターの使用後は、水ですすぐだけの簡単なメンテナンスで済み、エンジン式のように水通しをする必要はありません。
水ですすいだ後は、十分に乾かし、シリコンスプレーや機械油をつけた布で軽く拭くことで、劣化を防ぐことができます。
もちろん、エンジン式と同じように定期的なオーバーホールは必要ですが、日常のメンテナンスに関しては、エレキモーターのほうが手間がかかりません。
釣行後は非常に疲れていることが多いため、メンテナンスの手間が少ないことは、エレキモーターの大きなメリットの一つといえるでしょう。
微調整ができる
エレキモーターは低速での航行に強く、「微調整が得意」といったメリットがあります。
微調整が必要となる状況としては、バスフィッシングなどでオーバーハングやシェード、ハンプなどを狙うときです。
これらのポイントを攻める際には、角度や位置を調整しながらキャストすることが多いため、微調整能力に優れているエレキモーターがマッチします。
また、流れのある場所に留まることも、微調整の効くエレキモーターであれば可能なため、大きなメリットの一つとなります。
エレキモーターのデメリット
ここでは、エレキモーターのデメリットについて、エンジン式と比較しながら解説します。
エンジンと比べて速度が出ない
エレキモーターは、エンジン式と比べて「速度」が出ないデメリットがあります。
エンジン式の速度が「5kmから10km」であるのに対し、エレキモーターは5km程度の速度しか出すことができません。
また、ボートに積み込んでいる荷物の重量や流れ、風向きによっては、人が歩く程度の速度しか出せない状況もあります。
そのため、長距離移動がメインとなるような使用において、速度が出ないことはデメリットとなります。
連続運転時間が短い
エレキモーターには、エンジン式と比べて「連続運転時間が短い」といったデメリットがあり、各メーカーで違いはありますが、10分から15分の連続運転時間が推奨されています。
また、エレキモーターはフルスロットルでの移動にも注意が必要で、フルスロットルで長時間移動すると、配線が熱を持ったり、モーターの焼き付きにつながる可能性があります。
連続運転時間が短いということは、当然航行範囲も狭くなり、移動にかかる時間も大幅に増えるため、注意が必要です。
バッテリーが必要
エレキモーターには専用のバッテリーが必ず必要になり、場合によっては予備バッテリーまで必要になることもあるでしょう。
エレキモーターに使用するバッテリーは、最低でも20キロ以上あり、容量の大きなバッテリーでは30キロを超えるものもあります。
そのため、エレキモーター自体は数キロと軽くても、合計するとエンジンの重量を上回ることもあり、ボートへの積み込みや片付けの際に大きな負担となります。
エレキモーターにはどのようなバッテリーが必要になるのか、掛かるコストや選び方などについて詳しく知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
【2025年最新】エレキモーターにおすすめバッテリー13選!容量/連続使用時間/注意点も解説!
2馬力ボートにはエンジンとエレキどっちがおすすめ?
用途 | ガソリンエンジン | エレキモーター |
---|---|---|
長距離移動 | ◎ 適している | ✕ バッテリーが持たない |
高速走行 | ◎ 得意 | ✕ 最高速が出にくい |
低速での操作 | △ やや苦手 | ◎ 得意 |
静音性(釣り) | ✕ 騒音あり | ◎ 静か |
環境負荷 | ✕ 排気ガスあり | ◎ クリーン |
メンテナンス | ✕ 定期的に必要 | ◎ 楽 |
燃料補給 | ◎ 簡単(ガソリン) | △ 予備バッテリーが必要 |
結論から申し上げますと、2馬力ボートにエンジンとエレキモーターのどちらがおすすめかは、「使用場所」や「使用状況」によって変わります。
例えば、波があり、潮の流れのある海での使用であれば、波を越えていくパワーや連続運転時間、予備燃料を持ち込むことで航行可能距離が伸びるエンジンの方が断然有利で、安全性にも寄与します。
- 海での使用
- 移動距離が長くなる
一方で、湖などのリザーバーであれば、波が立たず流れもほとんど感じないため、パワーが小さく連続運転時間が短いエレキモーターでも問題ありません。
特に、バスフィッシングなどでは、岸辺付近のストラクチャーを重点的に狙いながら、一定の速度で移動することが多いため、微調整の効くエレキモーターが断然有利です。また、静音性が高いため、バスに余計な警戒を与えずに済みます。
- バスフィッシング等
- 湖など流れのない場所
このように、2馬力ボートの動力を選ぶ際には、「場所」や「状況」をしっかりと考えて選ぶことで、後悔のない選択ができるでしょう。
2馬力ボート用のエンジンやエレキモーターについて、さらに詳しく知りたい方は、下記の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、参考にしてください。
▼エンジン式について詳しく知りたい方▼
▼エレキモーターについて詳しく知りたい方▼
【2025年最新】2馬力ボートにおすすめのエレキモーター11選!バッテリーの選び方も解説!
まとめ
2馬力ボートに取り付けられるエンジンとエレキの基準は、「全長3.33m以下/出力1.5kW以下」となっており、同一ボートで複数の動力を同時に使用することはできません。
エンジン式とエレキモーターは、それぞれに向き・不向きがあり、メリットやデメリットが異なるため、理解したうえで選ぶことが、のちに後悔しないための方法です。
基本的に、流れが強い場所や移動時間が長くなる場合、また海での使用を考えるのであれば、「エンジン式」がおすすめです。
流れがなく、長距離の移動が少ない場面や、バスフィッシングなどでは、静音性の高い「エレキモーター」のほうがメリットが多く、おすすめです。
このように、向き・不向きやメリット・デメリットを理解し、自身のフィッシングスタイルに合った機種を選ぶようにしましょう。
コメント