近年、オフショアジギングの新たなスタイルとして注目を集めているのが「電動ジギング」です。
電動リールの進化により、これまで体力勝負だった深場や大型魚の攻略が、より効率的かつ快適に行えるようになりました。一方で、電動ジギングには専用タックルの選び方や、メリット・デメリットの理解も欠かせません。
そこで本記事では、電動ジギングの基本から、リールやロッドの選定方法、効果的な誘い方、そして性能を最大限に活かすポイントまでを経験者目線で詳しく解説します。
これから始めたい方にも最適な完全ガイドとなっていますので、ぜひ参考にしてください。
電動ジギングとは?

電動ジギングとは、電動リールの自動巻き上げ機能を活用し、メタルジグを上下に動かして魚を誘う、新しいスタイルのオフショアジギングです。
電動ジギングというスタイルが近年確立されてきた理由は、「電動リールの高性能化」と「電動リールの小型化」にあります。
まず、電動リールにはモーターによる巻き上げ機能に加え、スピード調整機能、水深カウンター、オートジャークモードなど、ジギングに有利な機能が高い次元で備わっています。
また、かつてはジギングには大きすぎて適さないといわれた電動リールも、性能の向上とともに小型化が進み、手に収まるサイズで各メーカーから専用機がラインナップされるようになりました。
さらに、小型化と高性能化によって、手巻きでは限界のあった水深のあるポイントでのジギングや、数十キロクラスの大型魚とのファイトも可能になっています。
このように、電動ジギングは従来のジギングでは不可能だった領域を開拓した、新しいスタイルのジギングとして注目を集めています。
オフショア電動ジギングのメリットとは?
メリット項目 | 内容の概要 | 効果・メリット |
---|---|---|
ファイト・回収が楽 | 電動巻き上げで深場や大型魚でも負担が少ない | 体力を温存し、長時間釣行が可能 |
水深がわかりやすい | デジタルカウンターや水深表示機能を搭載 | ヒットゾーンを正確に把握できる |
速い誘いができる | 高速巻き上げやスピード制御が可能 | 青物など回遊魚に有効な高速展開ができる |
ヒットパターンの再現性が高い | 設定した速度やモードで同じ動作を繰り返せる | 効果的な誘い方を安定して再現できる |
体力の消耗を抑えられる | 手巻きより操作が少なく、負担が軽い | 長時間でも集中力を保てる |
ここでは、オフショア電動ジギングのメリットについて解説していきます。
ファイト・回収が楽!
電動ジギングの最大の魅力の一つは、魚とのファイトやジグの回収が圧倒的に楽になることです。
特に水深100メートルを超えるポイントや、潮の速い海域での回収作業は、手巻きでは相当な労力を要します。しかし電動リールならボタン一つで一定速度の巻き上げが可能なうえ、魚の引きに応じてトルクを自動調整してくれるモデルもあります。
そのため長時間の釣行でも疲れにくく、集中力を維持したまま釣りを続けられます。体力に自信のない方や女性アングラーにも扱いやすく、電動ジギングが人気を集める大きなメリットの一つです。
水深がわかりやすい!
電動ジギングでは、水深を正確に把握しやすいという大きなメリットがあります。
多くの電動リールにはデジタルカウンターが搭載されており、ジグの位置をリアルタイムで表示してくれます。これにより、魚がヒットしたタナ(深さ)を正確に再現でき、次の誘いにもつなげやすくなります。
たとえば、80メートルでヒットした場合、次の投入でも同じ深さまで正確にジグを落とすことで再現性の高い釣りが可能です。
また、底取りのミスやラインの出しすぎを防げるため、根掛かりのリスクも軽減できます。効率的に釣果を上げたい方には欠かせない機能です。
速い誘いができる!
電動ジギングの強みの一つは、スピーディーな誘いが簡単に行えることです。電動リールの巻き上げスピードを細かく調整できるため、手巻きでは難しい高速ジャークを安定して再現できます。
たとえば、青物のように活性が高い魚を狙う際は、スピード変化をつけた連続巻き上げでリアクションバイトを誘発できます。また、リールによっては「ジギングモード」や「オートジャーク機能」を備え、一定のスピードやテンポで自動誘いも可能です。
人の手では再現しにくいスピードとリズムを維持できるため、広範囲を効率的に探れるのが大きな利点です。
ヒットパターンの再現性が高い!
電動リールはヒットパターンの再現性が非常に高いのが特長で、ジグの動きや巻き上げスピードを数値で管理できるため、同じ誘いを何度でも正確に再現できます。
たとえば、電動ジギングモードやスピードメモリー機能を使えば、魚が食ってきた時のスピードやレンジを記録し、次の投入でも同じ動作を自動で再現できます。これにより、状況の変化が激しいタチウオや青物の釣りでも安定してバイトを引き出すことが可能です。
結果として、再現性の高さが釣果アップにつながるメリットとなっています。
電動ジギングのデメリット
デメリット項目 | 内容の概要 | 注意点・対策 |
---|---|---|
バッテリーが必須 | 電源がないと使用できないため、バッテリーの持ちが釣行時間に影響する | 予備バッテリーの携行や充電管理が必要 |
高額なコスト | リール本体・バッテリー・専用コードなど初期投資が高い | 予算に応じて必要な機能を選び、長期使用を前提に検討する |
取り扱いに慣れが必要 | 操作設定が多く、モード選択や巻き上げ速度の調整に知識が必要 | 取扱説明書を熟読し、実釣前に操作練習を行うことで対応可能 |
故障リスク | 電動モーターや電装部品があるため、水や塩分によるトラブルの可能性 | 釣行後は真水での洗浄と定期メンテナンスが重要 |
重量がある | モーター搭載により、手巻きリールよりも重い | ロッドバランスを考慮し、短時間ごとに休憩を入れる |
電動ジギングには多くのメリットがありますが、注意しておきたいデメリットも存在します。これを理解しておくことで、トラブルを防ぎ、より快適に釣りを楽しむことができます。
初期投資が高い!高額なコストに注意
電動ジギング最大のデメリットは、初期コストの高さです。
電動リール本体に加え、専用ロッド、バッテリー、電源コードなどの周辺機器を揃える必要があります。中級以上のモデルを選ぶと、タックル一式で10万円を超えることも珍しくありません。
長期的に見れば快適性や釣果アップに繋がりますが、初心者が始める際はコストを抑えた入門機から試すのがおすすめです。
バッテリー必須で手間が増える
電動ジギングでは、電源となるバッテリーが必須です。
遊漁船に備え付けられた電源を使用することも可能ですが、同船者が同時に巻き上げ操作を行うと電圧が下がり、巻き上げパワーが低下する可能性があります。そのため、マイバッテリーを用意することは実質的に必須といえるでしょう。
手巻きリールとは異なり、バッテリーの準備・接続・充電・メンテナンスといった手間が発生します。
バッテリーを選ぶ際は、必要容量や電圧をしっかり理解し、信頼性の高い製品を選ぶことが大切です。
電動リール用バッテリーについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【2025年最新】電動リール用バッテリーおすすめ11選!選び方と使用上の注意点!
トラブル防止には取り扱いの慣れが必要
電動ジギングは便利な反面、操作や設定に慣れが必要です。
巻き上げスピードやモードの設定を誤ると、ライン絡みやジグの動きの不自然さに繋がることがあります。また、電源コードの接続不良や塩害によるトラブルも発生しやすいため、使用後の洗浄と乾燥は欠かせません。
基本的な操作を理解し、トラブルを予防する意識を持つことが、安全で快適な釣行につながります。
電動ジギングの基本タックルと選び方

電動ジギングを快適に楽しむには、タックルバランスが非常に重要です。
基本となるのは「電動リール・ジギング専用ロッド・PEライン・リーダー・メタルジグ」の5つで、これらが適切に組み合わさることで、電動リールの性能を最大限に引き出せます。
電動リールの選び方
電動ジギングでは、電動ジギング対応モデルの小型リールを基本に、狙う水深とターゲットに合わせた電動リール選びが重要です。
なぜなら、電動ジギングはエサ釣りに比べて手返しが多く、巻き上げる距離・時間も長いために、リールに大きな負荷がかかり続け、一般的な電動リールでは故障やトラブルが増加する可能性があるからです。
- 手に収まる小型電動リールがおすすめ
- 電動ジギング対応リールを選ぶ
選び方のポイントはパワーとスピードの両立で、特に中〜深場を攻める場合はトルクの強いモデルが安心です。糸巻量はPE2〜3号を300m以上巻けるものが目安となります。
また、ドラグ性能も重要で、大型魚とのファイト時に滑らかに作動することが求められます。さらに、液晶表示やジギングモードを搭載した機種なら操作性が高く、初心者でも効率よく誘いを再現できます。
ロッドは電動ジギング専用モデルがおすすめ
電動ジギングでは、専用設計のロッドを使うことで操作性と耐久性が大きく向上します。
電動リールは自重が重いため、ロッド側にも高い強度とバランス性能が求められます。専用ロッドはリールシート部の剛性が高く、バットパワーがしっかりしているため、大型魚の引きにも安定して対応できます。
また、ジグの動きを電動リールの巻きスピードと連動させやすい調子設計が特徴です。長時間の釣行でも疲れにくく、安定した操作を維持できる点が専用モデルを選ぶ最大のメリットです。
電動ジギングに最適なラインセッティング
電動ジギングでは、ラインセッティングが釣果を大きく左右します。
基本はPEライン2〜4号を300〜400m巻き、リーダーにはフロロカーボン40〜60lbを結ぶのが目安です。PEラインは伸びが少なく感度に優れるため、電動リールの巻き上げスピードに合わせた繊細な操作が可能になります。
リーダーは根ズレや歯による切断を防ぐため、魚種やポイントに応じて太さを調整しましょう。接続にはFGノットなど強度重視の結束を採用することで、トラブルのない安定した釣りを楽しめます。
ジグは電動ジギング対応が強い
電動ジギングでは、専用設計のジグを使うことで釣果が安定します。
電動リールの高速巻き上げに対応したジグは、速いスピードでも姿勢を崩さず、安定したロールアクションを維持できるのが特徴です。代表的なモデルとしてシマノの「オシアEJスピード」があり、高速巻きでも安定した動きでターゲットを誘います。
また、潮流や水深によってジグの重さや形状を使い分けることも大切です。複数のジグを用意し、その日の潮の速さや魚の反応に合わせて最適なものを選ぶことで、電動ジギングの強みを最大限に引き出せます。
電動ジギングでの狙い方

電動ジギングでは、電動リールの特性を活かした効率的な誘いがポイントです。
基本は「巻き上げスピード」「ジグの動き」「フォール」の3要素をバランス良く組み合わせることと、電動リールの設定やモードを活用することで、一定スピードでの誘いやパターン再現が容易になります。
ジギングモードで狙う
ジギングモードは、電動リールに搭載された自動誘い機能です。
あらかじめ設定したスピードとストロークでジグを上下させるため、誰でも安定したアクションを再現できます。特に深場や潮流の速いエリアでは、人力では難しい誘いを継続できるのが大きなメリットです。
一定リズムを保ちながら、魚探に反応が出た層を重点的に攻めることで効率よくヒットを狙えます。
ワンピッチジャークで狙う
ワンピッチジャークは、1回転の巻き上げに合わせてロッドを1回しゃくる基本動作です。
電動リールを使用することで、一定スピードの維持が容易になり、長時間でも安定したアクションを続けられます。速巻き設定を活かせば、青物の反応が良いハイスピード展開も可能です。
リズム良く巻き上げて、ジグを「跳ね上げ→フォール」させることで食わせのタイミングを作り出せます。
フォールで狙う
電動ジギングでは、電動リールのフォールスピード調整機能を活用することで、魚に自然な「喰わせの間」を与えられます。
特に、テンションフォール(張らず緩めずの状態)を維持できる自動制御は、アタリを感じ取りやすく、食い渋り時のヒット率を高めます。リールによっては「スローフォールモード」や「フォールブレーキ調整」を搭載しており、ジグの落下速度を細かく設定可能です。
これにより、タチウオや根魚などフォール中に喰う魚種を効果的に狙うことができます。
電動リールの性能を活かすためのポイントと注意点
電動ジギングでは、電動リールの機能をしっかりと把握しておく必要があります。
例えば「シマノ ビーストマスター1000」に搭載されている【EJモード】には、2つのモードが搭載されており、その特徴は以下の通りです。
マニュアルジャークモード:
PICK UPボタンを押している間のみ電動巻き上げが作動するモードです。巻き上げ時間やロッドワークとの組み合わせで、ワンピッチジャークやラインスラックを活かした誘い、フォールを含む複合アクションを演出できます。さらに、巻き上げスピードを31段階から選択できます。
オートジャークモード:
巻き上げ速度(SPEED)、巻き上げ時間(MOVE)、停止時間(STOP)を自由に設定でき、一定のリズムでジグを動かす誘いを自動で繰り返します。ヒットパターンを記憶して再現できるため、安定した誘いを継続可能です。
このようにEJモードは、手動と自動の両立によって多彩な誘いを可能にし、釣りの精度と効率を高める機能です。ただし、どのような機能で、どのように使用するのかを理解していないと「宝の持ち腐れ」になってしまいます。
そのため、電動ジギングに適したリールの特徴や機能を、事前にしっかりと把握しておきましょう。
まとめ
電動ジギングは、深場や長時間の釣りでも効率的に誘い続けられる、現代オフショア釣りの新スタイルです。
電動リールの自動巻き上げやフォール制御機能により、体力を消耗せず安定したアクションを再現できます。さらに、EJモードやジギングモードを活用すれば、ヒットパターンの再現性も格段に向上します。
一方で、バッテリー管理や初期コストといった注意点もありますが、機能を理解して使いこなせば釣果アップは確実です。まずは対応タックルを揃えて、電動ジギングの魅力を体感してみてください。
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